国際森林年とは

世界の森林の変遷とその対策

2011年は「国際森林年」ですが、26年前の1985年にも「国際森林年」が設定されました。当時は、熱帯林の急激に減少・劣化が国際的な問題として認識されるようになったことから設定されました。その後、世界の森林は1990~2010年の20年間で、日本の国土の約4倍の面積が減少しているなど、依然として減少傾向にあり、世界でさまざまな対策が取り組まれています。

熱帯林問題を契機に1985年「国際森林年」が設定

熱帯林問題を契機に1985年「国際森林年」が設定

1970年代後半から1980年代にかけて、焼畑移動耕作の拡大や家畜の過放牧、薪炭材や輸出用の用材丸太の過剰採取、森林火災等によって、熱帯林は急激に減少・劣化し、国際的な問題として認識されるようになりました。
こうしたことから、熱帯雨林の急激な減少とともに酸性雨等による森林の減少・劣化に対処するために、国連は1985年を「国際森林年」と定め、国際食糧農業機関(FAO)が中心となって地球規模での普及啓発活動を展開しました。
また、同年には、熱帯林の保全及び持続可能な経営、利用を推進するために、FAOが「熱帯林行動計画」(TFAP)を採択し、多くの開発途上国において取組が進められるとともに、環境協定としての側面を併せ持った国際商品協定として「国際熱帯木材協定」(ITTA)が発効するなど、国際的な枠組みが複数創設されました。

1992年「地球サミット」を契機に国際的な議論が進展

1992年「地球サミット」を契機に国際的な議論が進展

地球規模での環境問題がクローズアップされる中で、1992年に開催された「地球サミット」では、生物多様性の減少、砂漠化の進行、地球温暖化とともに、熱帯林保全等の森林問題も議論されました。そして、森林に関するはじめての世界的な合意として「森林原則声明」が採択され、地球上のすべての森林が持続的に管理経営されなければならないこと、そして各国が主体的に持続可能な森林管理・利用に向けた取組みを図っていくことを目指すことが合意されました。
地球サミット以降、国連は1995~1997年に「森林に関する政府間パネル」(IPF)を、1997~2000年には「森林に関する政府間フォーラム」(IFF)を、さらに2001年以降は「国連森林フォーラム」(UNFF)を設置して、各国政府、国際機関、NGO とともに、法的拘束力をもつ森林条約等を含めた世界の森林問題の解決策について議論を行っています。

違法伐採対策や地域的な取組の進展

違法伐採対策や地域的な取組の進展

しかしながら、世界では1990~2010年の20年間で、日本の国土の約4倍の森林が減少するなど、依然として高い水準で森林が減少しています。また、インドネシアの5割、ロシアの1割の木材が違法伐採という推計も公表されました。
こうした中、世界有数の木材輸入国でもある日本政府は、2000年のG8九州・沖縄サミット以来、「違法に伐採された木材は使用しない」という基本的考えに基づき、国際的な場において、違法伐採問題への取組の重要性を一貫して主張し、政府調達や木材生産国支援などの違法伐採問題への取組みを推進してきています。また、2002年の「ヨハネスブルク・サミット」では、日本政府及びインドネシア政府の提唱により、アジア大洋州地域における持続可能な森林管理・利用を達成するため、政府、研究機関、NGO等が参画した自発的なパートナーシップとして「アジア森林パートナーシップ(AFP)」を発足して、地域的な取組も進めています。

2010~2012年に世界の注目が高まる森づくり

森林は、光合成によりCO2を吸収、固定することに加えて、木材を使用することでCO2を貯蔵し、また燃料として使用することはCO2の排出抑制となることから、地球温暖化防止に大きく貢献します。また、適切な森づくりや木づかいは、豊かな生態系を育むことで「生物多様性保全」にも貢献します。
こうした中、2011年は「国際森林年」ですが、2010年は「国際生物多様性年」、そして2012年には「京都議定書」第1約束期間の最終年を迎えるなど、2010~2012年は、地球温暖化防止と生物多様性保全の観点を含めて、世界が森林への注目を高める3年間となっています。
さらに、2012年には「地球サミット(Rio+20)」が開催されることから、これらを契機として、世界の森林の持続的な管理・利用に向けた機運が高まっていくことが期待されます。