活動宣言と申請方法

CSRと新しい企業価値の森林づくり

CSRと新しい企業価値の森林づくり 日本の森林再生は、日本の企業再生・国力再生に通じています。
現在、我が国は、東日本大震災と原発事故の影響や余震、経済不況、少子高齢社会、雇用、格差問題など、さまざまな緊急課題への対応を迫られています。また、地球温暖化・環境破壊、戦争や地域紛争、貿易格差など世界規模の問題も多く抱えています。
これらの問題解決のために、多くの政府組織や大企業が尽力していますが、自治体やマーケットに委ねるだけでは、解決できない問題もあります。昨今、これらの問題解決のために、社会的責任(CSR)を果たす行動が強く求められています。組織の規模にかかわらず、企業自らが利害関係者(ステークホルダー)の一員であると意識し、主体的に問題解決に関わって行く姿勢が注目されています。さらに、企業が社会的責任の名の下にさまざまな規制や監視に縛られるのではなく、「共有価値の創造(CSV : Creating Shared Value)*」という、より新しい観点から問題解決を探る考え方も提唱されています。
森づくりに関しても、森林環境や資源を安定して存続・活用するためには、持続可能性(サスティナビリティ)が求められています。政府や行政だけではなく、企業や組織、NPO、労働者、消費者・顧客、投資家、地域社会など、社会を構成する幅広い方たちのお互いの協力が不可欠です。
企業もただ利益や効率を追求するだけではなく、さまざまな人たちの社会的要請に耳を傾ける必要があります。農山村に対して、企業が新しい技術や機械を導入することで、社会環境の変化や経済成長に沿った新しい価値を一緒に創り出していく必要性があります。
「国際森林年」の普及と啓発も、社会的責任および共有価値の創造としての活動の1つです。組織・個人の区別なく、社会に関わる全員の課題として、現代社会が抱える問題の解決、ひいては共有価値の創造に繋がる活動に、ぜひご賛同とご協力をお願いいたします。 *“Creating Shared Value” by Michael E. Porter and Mark R. Kramer(Harvard Business Review, January-February 2011)

「森づくり」に関する企業の高い関心

「森づくり」に関する企業の高い関心

国土緑化推進機構等が大企業を対象に行った「「企業の森づくり」に係わるアンケート調査結果(平成21年)」によれば、9割以上の企業が興味や関心を抱いている結果が出ました。従業員の環境教育や地域貢献、事業活動における環境負荷の軽減にも繋がる活動として、必要な人材や環境づくり、普及啓発と地域交流、資金などの支援や協力本業と一体化した取り組みが行われています。
また、森林を訪れることで、ウイルスなどを破壊する免疫「NK細胞」が活性化することが医学的に実証されている「森林セラピー」は、従業員の心と身体の健康維持・増進、病気予防に役立てられています。
「企業の森づくり」では、森づくりに興味や関心を持つ企業や団体に、いろいろな情報を提供しています。活動の計画・立案や二酸化炭素の吸収・固定量などの環境貢献活動の評価などに関するサポートを通じて、「企業の森づくり」促進を図っています。

森づくり活動スタートのための支援

森づくり活動スタートのための支援

森づくり活動への参加に興味・関心を持っているものの、活動の実施に関するノウハウやネットワークを持たない企業や学校、NPOなどでも、安心して森づくり活動に参加できる仕組みがあります。
「森づくりコミッション」では、活動場所や森づくり団体の紹介やマッチング、植林や間伐など森づくりの方法の指導・助言、ボランティアの育成、新たな活動の実施に関する企画提案などを行っています。
全国23カ所に設置されたコミッションを通じて、植樹祭や育樹祭、シンポジウムやセミナー、体験イベントや森林ボランティア活動、コーディネーター養成研修などが行われています。
また、企業やNPO法人・団体が、社会的な共有価値を創造する活動の一環として森林整備をする場合、国有林をフィールドとして提供する「社会貢献の森」という制度があります。企業の希望と条件があえば、自然環境に恵まれた森林を社会貢献の現場として広く利用することができます。企業の社員や家族が利用する以外にも、事業者に委託することも可能。社会貢献の森は、「あきぎんの森(株式会社秋田銀行)」「山女の森(雄勝漁業協同組合)」「天然水の森 赤城(サントリーホールディング株式会社) 」など、日本各地に設置されています。

オフィスでできる国産材製品の積極的利用

オフィスでできる国産材製品の積極的利用

オフィスですぐに参加でき、社会的責任および共有価値の創造に繋がる活動の1つは、職場で国産の木材を利用することです。
木材を作るときに排出される炭素の放出量で比較すると、木はアルミニウムの約1/100です(出典:林野庁「カーボン・シンク・プロジェクト推進調査事業」)。また、木造住宅1軒の炭素貯蔵量(木が吸収し、木材に貯蔵される炭素の量)は約6tで、鉄骨プレハブ住宅や鉄筋コンクリート住宅の4倍近い量です(出典:岡崎泰男・大熊幹章「炭素ストック、CO2放出の観点から見た木造住宅建設の評価」『木材工業53(4)』1998年)。
間伐材を含む国産材や木製品を、オフィスや家具、文房具、インテリアや備品などに積極的に使うことで、「使う→植える→育てる→収穫する」という森林のサイクルが途切れることなく循環します。
これにより、手入れが行き届いた健全な森林が育ち、二酸化炭素の吸収機能をはじめ、森林が持つさまざまな機能が活かされます。また、資金が農山村に還元されることで、林業の生産活動が活発化し、私たちが住みやすい環境と森林資源が安定的に供給されるようになります。

木製の仮設住宅で被災者を支援

木製の仮設住宅で被災者を支援

東日本大震災では、岩手県気仙郡住田町で、隣接する陸前高田市や大船渡市などの被災地のために、地元の「気仙スギ」を使用した木造の仮設住宅が作られました。偶然にも、2010年に用意されていた「災害地に建てる仮設住宅」という事業プランがあり、震災からわずか2週間後には、すべて木製の仮設住宅が完成。プレハブよりも安い一軒約250万円で建てられている住宅には、FSC(森林管理協議会:Forest Stewardship Council)森林認証を受けた、適正に管理された木材が中心に使われています。地元の大工たちの想いと木の温もりが、心身共に深く傷ついた被災者たちを温かく包んでいます。
森林再生を支援するNPO「more trees(モア・トゥリーズ)」も支援を表明するなど、地方自治体と地場企業、NPOなどが連携した支援を行っています。