企業の「4つのアクション」

田舎ぐらしに関わる都会の企業

田舎ぐらしに関わる都会の企業 山村は、国土の保全や水資源のかん養、自然環境に恵まれたレジャー空間の提供など、都市の住民が豊かな暮らしを育んでいく上で重要な役割を果たしています。その森を支える林業は、再生産が可能な循環型資源を生み出し、低炭素社会・自然共生社会の実現に繋がる基幹産業として、日本の国土や私たちの暮らしを支えています。
しかし、木材価格の下落などによる林業低迷が影響し、林業で働く人材は一貫して減少傾向にあり、就業者の高齢化も深刻です。山村の人口は、日本全国のわずか3%にも関わらず、森林面積の約60%を支えているのが現実です。
都市部の企業や組織は、従業員が田舎暮らし体験をしたり、短期間でも農山村に暮らしてみる活動を奨励することで、新しいビジネスチャンスのヒントを掴めます。

ワーク・ライフ・バランスの新しい形

ワーク・ライフ・バランスの新しい形

内閣府が平成19年5月に調査した「森林と生活に関する世論調査」によれば、森の中で働きたいという人々は全国的に増加傾向にあります。
都市に暮らす企業・団体などが協力して、従業員やその家族の田舎暮らし体験を支援することも、企業ができる具体的な貢献の1つです。農山村の暮らしや生業を体験するグリーンツーリズム・アグリツーリズムや、農家レストランや体験民宿、子どもの自然体験・生活体験などさまざま。企業やNPOが地域の農山村と一緒に活動することが、日本の農山村の再生につながっていきます。
農山村地域に新たな都市住民が定住することにより、地域活性化などさまざまな成果につながり、森林組合や林業会社と連携し、新しいビジネスに繋げることも可能です。また、ワーク・ライフ・バランスを考えるきっかけとして、企業内部の活性化にも繋がります。
また、林野庁では、2003年から「緑の雇用担い手育成対策事業」を開始しました。今の仕事と両立させて副業として働く人や転職者、建設業や異業種からの企業参入などを支援しています。

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森の知恵が新しいビジネスチャンスに

東日本大震災を経験した日本は、今、経済的な価値を絶対基準にした都市型のライフスタイルを転換する分かれ道に差し掛かっています。身近な自然とコミュニティに支えられ、受け継がれて来たかつて日本人の暮らしの知恵に学び、農山村の新しい担い手を育成することは、企業として取り組む価値のある支援の1つです。
「なりわい創造塾」は、かつて日本人が持っていた労働を共有し、助け合って生きる 「生業(なりわい)」をもう一度評価して、新しい価値を創り出そうとする活動です。フィールドワークや演習からマネージメントの講義など、内容も豊富。NPOや地方自治体、地域のコミュニティーなどと共に、大小いろいろな企業が全国各地で関わっています。
自然の恵みを収穫し分けあい、人と人の関係性を築きながら、豊かな環境と自然の恵みを次世代に引き継いでいく…森に暮らす人たちの知恵や技術、生き方に学ぶことから、持続可能な未来に向けた、新しい暮らしや文化が作られていきます。現代人が忘れがちな、自然と共に生き、地域で支え合う暮らしの中に、企業の持続可能な発展のあるべき姿のヒントがたくさんあるはずです。

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企業と山村とのビジネスマッチング

・企業と山村とのビジネスマッチング

2009年11月、国際自動車(株)・長野県信濃町・山村再生支援センターの三者間で「企業のふるさとづくり協定」が締結されました。この協定は、山村と企業が連携して、山村の資源を活用して環境に配慮した新しい事業やサービスを創り出すことで、山村の再生と低炭素社会を実現しようとする社会的協働でした。
この活動の成果や効果として、まず企業では、山村との交流が従業員の健康維持プログラムとして有効と認識され、顧客企業へもプログラムや協定が紹介されました。 自治体では、タクシー・ハイヤー・バス交通サービス事業社との連携が増え、企業との交流が拡大。山村再生支援センターは、木質バイオマスやカーボン・クレジット(二酸化炭素削減によって得られた排出権の商業取引)の普及など、複合的な支援を実施しました。
企業と山村の協定は、持続可能な企業経営にとって魅力溢れる活動です。企業は、従業員の新入社員研修や健康管理・福利厚生の一環として山村を訪れ、農林業に参加して共同作業をしたり、森林セラピーや地元の人たちとの交流、山村の産品を従業員食堂で提供するプログラムなどを導入します。また、ビジネスを展開する事業者として、自社の活動から顧客向けに、地域の特性や魅力を活かし環境に配慮した新商品を開発したり、カーボン・クレジット付き事業を展開するなど、さまざまなビジネスチャンスがあります。

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